kashirajimaolive園主の想い

私は大阪からこの頭島に移住し、2018年からオリーブの栽培に取り組んでおります。

穏やかな気候と豊かな海に恵まれた大小13の島々からなる日生諸島は、瀬戸内国立公園の中にあります。その中でも頭島は周囲約4kmと小さな島ですが、牡蠣養殖やみかん栽培が盛んで、多くの民宿やペンションが並び、かつては観光と暮らしが共に息づくにぎやかな場所でした。

しかし、時代の流れとともに人口減少や高齢化が進み、かつて輝いていたみかん畑は荒れ、やがては猪や鹿の棲み処へと変わっていきました。手入れが行き届いていた美しい景観は失われ、寂しさを感じさせる風景が広がっていたのです。

2018年、そんな現実を目の当たりにし「この美しい島にもう一度命を吹き込みたい」という強い思いから、私は地域おこし協力隊としてオリーブの植樹を始めました。以来、約3ヘクタールの土地に500本のオリーブを、ときには様々な方々に協力してもらいながら、収穫に至るまでの6年間ひとりで育て続けてきました。

瀬戸内の光と風を浴びて育ったオリーブの木々は、いま力強く根を張り、少しずつ実を結んでいます。私の目指す農園は「人々の交差点となる場所」。世界と地域の人々がこの島で出会い、交流し、新しいつながりが生まれること。
そして「地域の事業者も巻き込み、人やお金の流れをつくる」ことで、地域が再び誇りと活気に満ちる未来を描いています。

頭島オリーブのオイルには、瀬戸内の自然の恵み、島への愛情と誇り、そして再生への願いが込められています。

どうぞ、この小さな島が育んだテロワールを感じながら、私たちのオリーブオイルを味わっていただければ幸いです。

                
         kashirajimaolive園主  山本 剛